唐の詩人白楽天が、道元禅師に、
「仏教とはいったいどんな教えですか」と尋ねた。
「悪いことをしないで、良いことを実行して自らの心を浄よくすることです」
「そんなことは三歳の幼児でも知っている」と嘲笑した白楽天。
「三歳の幼児でも知っているかもしれないが 八十歳の老人でも行うことは難しい」
と、一喝した道元禅師。
昔、ある大先生が弟子への諭し話に
「一つ聞いて、一つ通って、一つ分かる。わかりましたか?」
「二つ聞いて、二つ通って、二つ分かる。わかりましたか?」
「三つ聞いて、三つ通って、三つ分かる。わかりましたか?」
「四つ聞いて、四つ通って、四つ分かる。わかりましたか?」
「五つ聞いて、五つ通って、五つ分かる。わかりましたか?」
弟子が、
「はい、よく分かりました」と答えるまで話は続く。
悩みを持ったある婦人が、二十里の道を歩いて
恩師に教えを乞いにやってきた。
「お仕込み頂きとうございます」
「遠いところからご苦労様でした。
人生で何が大切かといえば、朝起き、正直、働きじゃ」
「ありがとうございました」と婦人は席を立った。
「これこれ、話はこれからじゃ」と恩師。
「いえ、もう充分でございます」と婦人。さらに
「今、教えて頂いた朝起き、正直、働きが実行できれば、
次のお話を聞きに参ります」と答えた。
この婦人は、後に「大いなる慈母」と慕われる偉大なる先生になられた。
有名なお話である。
「知るは易く行うは難し」である。
「たすけ心の涵養と実践」に尽きるのだが…。
お互い様に、先ず一つの実行からですね。
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