亀爺のおたすけ雑談集



D「ノイローゼ」の巻

「今年も良い年でありますように、おじいちゃんの顔を見に来たんだよー」 
訪問看護師のM子が、元旦祭に帰って来たんじゃ。

M子はわしを「おじいちゃん」と呼ぶんじゃ。亡くなったおじいちゃんに似てるんじゃと。人なつっこく、可愛いくて、やさしい娘じゃでの。 

2年前、ノイローゼになり、友だちに誘われて、初めて教会へ来た時は、そりゃ、泣いてばかりいたのに‥‥。

当時は大病院に勤務していたのじゃが、不規則な勤務と目の回る忙しさで、もう何がなんだか分からなくなって、酒で気持ちを紛らわせていたそうじゃ。ミスが許されない職場だけに、毎日が緊張の連続だったのじゃろうて。

病院を辞め、修養科へ行ったんじゃ。わずか三ヶ月で見事に吹っ切れて、明るくなってくれたわい。

「私、あのままだったらきっと気が変になってたよ」
「陽気ぐらしするために、神様が人間を創ってくれたと知ったときは、なんだかうれしくなって、生きることが楽しく思えるようになった」と。

仕事を通して、多くの患者と接し、人の痛みやつらさが分かるのじゃろうの。修養科で生きることの大切さや意義を学んだとのことじゃった。 

その後も看護の仕事がしたいと、訪問看護師になったんじゃ。M子は、いつも
「おやさまだったらどうされるかしら?」
と、心がけてるんじゃと。

直会(なおらい)が始まり、おおっ!M子が歌ったぞ。
「♪♪アッチッチ、アッチッチ、ア、ア‥‥」

な、なんじゃこりゃ? 外は寒いというのに‥‥。