亀爺のおたすけ雑談集



F「意地悪ばあさん」巻

つい先日の話じゃが。ご近所の通称「意地悪ばあさん」が自宅の階段から
すべり落ちて、右大腿骨と右腕を骨折し、救急車で病院へ運ばれたんじゃ。

「ざまあみろだ」
「いいきみだわ」
「天罰よ」
「自業自得だ」
「見舞いには行かないよ」などなど。

近所の人たちが、見舞いに行くか行かないかワイワイ騒いでいたんじゃ。

この「意地悪ばあさん」は、近所の子どもたちに、服装や、髪型、バイクの二人
乗りなど、また若い母親などにも口うるさい。だから近所は「意地悪ばあさん」と
呼んでるのじゃと。

薄情じゃなあ。わしはこれからおたすけに行って来る。あの人は真実な人じゃよ。
自分は嫌われても、子どもにはキチンと善悪の区別や親の躾のの足らないところを教えてくれているんじゃ。

孫を交通事故で亡くしてからは特に子どもたちには厳しくなったな。同じ目に遭わせたくないとの思いからじゃ。

わしはえらい人じゃと思って感謝してるんじゃ。この町全体のおばあちゃんじゃよ。そんなことがわからんのか!

翌日、町内の者が揃ってお見舞いに行ったんじゃと。よかった。よかった。
これからは「意地悪ばあさん」とは言わなくなるじゃろうて。 

自分のことしか考えない者の多い中、人のために骨を折ってくれていたんじゃな。有り難いことじゃ。骨折もきっと早く御守護いただくことじゃて。