亀爺のおたすけ雑談集



G「産みの苦しみ」の巻

「何でやねん。何でこんな事になるんや。会長さん、たすけて!」
悲壮な叫びじゃった。

●●市に住む若いS君夫婦の話じゃがの。

最初の子どもが生まれて3年半、そろそろ二人目がほしいと思っていた時、うまい具合に妊娠したんじゃ。そりゃあ二人は喜んでおったがのお。

しかしじゃ、出血が多くて二回目の検診で「切迫流産のおそれがある。今すぐに入院だ。安静にして身体を動かしてもいけない」と。

最初は入院すれば大丈夫だと軽く考えていたのじゃがな。入院したものの出血は止まらない。「子宮の壁がはがれてきているが、胎児は元気だから流産の恐れはない。大丈夫だ」と医師は繰り返す。「生まれるまで入院生活だと言われました」と不安に肩を落とす若い夫婦じゃった。

「良かったのぉ。これで夫婦の絆が強くなるのじゃ。二人が仲良くしっかりとたすけ合ってのお。陽気ぐらしの原点は夫婦からじゃからなあ」

入院中、三歳の子どもを教会で預かったのじゃが、この子が可愛くてのぉ。S君は会社、病院の妻を見舞い、そして、土、日には教会へ参拝に帰り、子どもと再会し、泊まって行くのじゃ。子どもを抱きしめて涙を流していることをわしは知っておるぞ。

入院して早くも二ヶ月が経ったのじゃが、妊婦の様子は以前と変わらない。
「頑張ってくれよS夫婦。もうすぐ君たちのかけがえのない素晴らしいお宝をいただくのじゃからな」