11〜20 こころの道しるべ集(2)
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意見をする人は うるさいもの
叱られて 気持ちのいい人はいない
なるべく
近寄らないようのする

良薬は口ににがく
意見 小言は 耳ざわり

しかし
砥石が刃物を磨いて
切れ味をよくするように
意見されただけ 自分が光る

叱る人が 愛する人で
おだてる人は 落とす人
意見 小言をいう人には
できるだけ 近づきたいもの

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私たちには 耳は二つ備わっていますが
口は一つしかありません

聞くことは 二つ聞いて  言うことは 一つで充分だよ
ということでしょうか

争いやトラブルの元は その逆で 一つ聞いて 二つ言う
すなわち 他人(ひと)の言い分は 半分しか聞かないで
自分の言いたいことは 倍ほども言うところにあるようです

相手の思いは 充分に聞きとり 自分の主張はほどほどに・・・
そこに 夫婦が治まり 親子が治まり 他人同士が一つに治まる

神様から貸し与えられたのは 「耳二つに口一つ」
よくよく思案したいものですね

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春は あけぼの…
夏は 夜…
秋は 夕暮…
冬は つとめて…
ご存知 有名な「枕草紙」ですね

「枕草紙」の名の由来は
時の天皇が 中国から送られた紙を
清少納言に見せたところ
「そんな貴重なものなら枕にして寝てみたい」
と言ったのがきっかけとか?!

真偽はともかく その当時 紙は驚くほど 貴重なものでした

それに比べて
現在の日本では 紙は使い放題 捨て放題
せめて再生紙に出したり 再利用して
自分のできる節約を心がけたいものですね

物を大切にすることは教えられていても
身についている人は少ないようです
衣食住すべてにいえることかもしれません

人も物も大切にするように心がけたいものですね

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人の親切は すぐに忘れるが 
悪口は 死ぬまで覚えている

お世辞は 真に受けるが 
忠告は 聞こうとしない

自分中心の受け取り方は 
真実を見失うことになる

小言を言われたら 
私の事を案じてくれると思うとうれしい

災いが起きても
これくらいですんだと思えばありがたい

病いはつらいけど 
心をふりかえる機会が与えられたと思えば喜べる

心の持ち方ひとつで
見える姿や世界に変わりはなくても
心に映る世界は喜びに変わる

さて あなたの心にはどう映っているのでしょうか


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人生には 三つの坂があるといいます

上り坂(さか) 下り坂(さか) そして まさか(魔坂?)

人は 自分の力で生きていると考えています

調子の良い時も 悪い時も いろんな時がありますが
努力して なんとか 今日までやってきました

でも 「まさか」にぶつかると 途方にくれ
ふだんは神仏に疎遠な人でも
あわてて手を合わせて 祈ります

人生に「まさか」は つきものです

困った時の神頼みも 悪くはないでしょうが…

天然自然の恵みと 人と人のたすけあいに 支えられて
生かされて 生きているという 感謝の心で
困らぬ前から 手を合わせるこころがたいせつですね

それが「まさか」の 命綱となるでしょう

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夫が冷たい 妻が冷たい
悲しいことです

夫が冷たい 妻が冷たいのは
だれの責任なのでしょうか

牛乳を玄関先に置いていても
あたたまるものではありません

あたたかい牛乳が飲みたかったら
まず 牛乳をあたためることです

夫をあたためる
妻をあたためる
相手をあたためる

あたたかくして ほしいなら
まず 相手をあたためることだと思います


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サンマを買いました
一尾 百円でした

半分食べて 残りは捨てました
私が買ったものですから
誰からも 文句を言われることはありません

ところで あの百円は サンマの何だったのでしょう
サンマを獲ってくれた漁師さんのもの
サンマを運んでくれた運送屋さんのもの
サンマを売ってくれたお魚屋さんのもの
サンマの値段は 一円も含まれていません

サンマは 私が買ったもの というより
海の中で泳いでいた 天然自然のもの

野菜にしても 工業製品にしても
元をただせば すべてが天然自然のもの
天の恵み 天の与えだと 気が付きました

この 天然自然の恵みのお与えにたいして
喜びの心 謙虚な心 感謝の心を持つことです 

全て 天然自然に ご用意くださっているのですから

サンマを半分捨てたのが恥ずかしい
私には 喜び 感謝の心がなかったから…

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いつのころからか「経済」ということばが
お金の勘定の意味に 使われだしました

「経済」の意味は「経国済民」国を治め人民を救うことですね
「経緯」の 経はタテ糸で ヨコ糸は 緯
タテ糸で国は治まる ということでしょうか

親子に 慈愛と敬愛の情が薄れると 家庭は崩れはじめ
師弟に 慈愛と敬愛の情が薄れると 学校が荒れはじめる
それは タテ糸の切れた姿 といえるでしょう

親が 神を敬い 日々感謝の心を捧げて 
親々や先祖を尊び 真実誠の心で 暮らすことが大切ですね

子は そんな親の姿を見て 孝心という タテ糸を 
心の中にしっかりと育てていきますから

そして 友愛という 互いに手をつなぐ ヨコ糸に
しっかりと タテ糸を編み込みたいものですね

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鏡を見て 顔の汚れに気が付きました
あわてて 鏡を拭いても
顔の汚れは とれません

自分の顔を拭くと
鏡の顔はキレイになりました

人は鏡を見て 顔や衣服を正します
もし 自分の心を映す鏡が あるとすれば
「今日の心は 曲がっていないかな?」と
いつも 点検できるかも知れません

実は 心が映る鏡があるのです
自分の周りの人こそ その鏡なのです

人を見て 喜べないときは
自分の心の掃除に努めてみませんか
きっと 何かが 変わってくることでしょう

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寒い朝 かじかんだ手に
ハーッと 息をかけて 暖めます
そして 熱いお味噌汁に
フーッと 息をかけて さまします

同じ口から出る息ですが
暖める息と 冷やす息が あるようです
そして 同じ口から出る言葉にも
ひとを暖める言葉と 
ひとを冷やす言葉が ありますね

「ありがとう」のひと言に 感謝の思いを込め
「ごくろうさま」のひと言に 思いやりの真心を込める

それが ひとを暖める言葉
それはまた 
ひとを生(活)かす言葉にもなります