31〜 こころの道しるべ集(4)
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病気や災難 あるいは仕事や家庭の悩み
それは 避けることのできない人生の節ですね

節をきっかけに 人生を狂わせる人もあれば
「あの事故以来 息子は生まれ変わった」とか
「あの病気のお陰で 夫が優しくなった」とか
節から 喜びの芽が出た話もあります

節から折れてしまうか? 芽が出るか?
それは その節を ただ不幸だと見るか
生き方転換の機会だと見るかで 分かれます

横から見れば四角に見える 円筒形の茶筒が
上から見れば 丸く見えるように
同じものでも 視点を変えれば見方が変わり
私たちの姿勢も 変わるものです

あらゆる節は
私たちが より良い生き方に切り替えるための
神さまからの メッセージなのです

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ある小学生のつくった詩

ぼくのふでばこに えんぴつとけしごむが はいっている

けしごむは えんぴつがかきまちがえたとき けしてあげる
えんぴつは けしごむがけしまちがえたとき かきなおしてあげる

なんてなかのよいきょうだいなんだろう


すばらしい観察ですね
親子 夫婦 姉妹 同僚 嫁姑 …

お互い 鉛筆と消しゴムの心で暮したいものですね


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目に入ったゴミや指先のトゲは
どんなに小さくても気になるものです

嫌いな人の欠点は たとえ小さなことでも
やっぱり気にかかるものです

人間は
不幸なことを大きく感じて
幸福なことは 案外気がつきにくいものです

見方を変えて
不幸の数よりも 幸福の数を数えてみては?
「幸せさがし」ってことばもありますね

見える世界が変わってきます

「有り難いなぁ」「もったいないなぁ」「うれしいなぁ」「楽しいなぁ」

すると
「喜べば 喜びごとが 喜んで 喜び集めて 喜びに来る」と

素晴らしい幸福がやってきますからね

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どんなに おいしい銘菓でも
お酒の大好きな お父さんは
喜ばないでしょう

どんな高価なウイスキーでも
甘いものが大好きな お母さんには
喜ばれません

親孝行は 親の好きなものを
差し上げることです

子どもたちは仲良く暮して
親にやさしい素直な心と行いが
一番喜ばれるのではないでしょうか

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江戸時代に京都にあった呉服屋での話

早朝 小僧さんが店の大戸を開けたとき
カゴが通りすぎました
近くの色街からの朝がえりのカゴです

いまいましく思った小僧さんは主人に申しました
「旦那 朝がえりの馬鹿者が通ります」

一方 主人はそのカゴ屋の姿を見て
「私たちより早く もう稼業に励む人がいらっしゃる」
と驚きの声をあげました

小僧さんはそれを聞いて
「さすがに ご主人は目のつけどころが違う」
と感心したそうです

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ある人が 不治と言われた病気を見事に克服して
社会に復帰してきました

まわりの人たちは口々に
「奇跡だ!」「奇跡だ!」と言って喜びました

ちょっと待ってください
「病気をして 再び元気になったのが奇跡?」

そうすると
「毎日元気でいる人たちは いつも奇跡なのだ」と。

「奇跡」とはこんなにも身近にあるものなのですね

元気であることを喜こぶことが大切なのですね
もっともっと まわりにも 感謝して暮したいものです

あなたもわたしも「奇跡の人」なのですから…

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夏に食べるおいしい素麺は
12月〜2月までの冬の間につくられます

しかも 真夜中に延ばし
夜明けと同時に天日で乾かします
一番寒い季節の一番寒い時間での作業です

素麺は 練られて延ばされて 寒風に晒されるほど
良い味になると聞きます

同じように
人生でも一番厳しい時、一番つらい時こそが
その人の「味」を左右する大切な時…
苦労苦難に晒されるからこそ
味わい深い人になっていくのでしょうね

「苦労は楽しみの種」
苦労の喜びに換えて通らせてもらいたいものです

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手を見てください

太い指や細い指、長い指に短い指…

もし すべての指が太さも長さも同じだったら
物をつかむことや細かい仕事をすることが
むずかしくなるでしょう

指の長さが違うだけでもとても有り難いことです
この微妙な違いに不思議を感じます

人も同じですね
短気な人 のんびりした人 しっかりした人
世の中にはいろいろな性格の人がいます

物事が順調に運び より良く暮らしていくためには
それぞれに違う性格の人が お互いに補い合いたすけ合う
そうすることで 社会の調和がとれていくのですね

たとえ相反する個性の者同士でも
認め合い たすけ合う世の中になるよう…

じっと手を見て そんな親の思いを知りました

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数年前の写真に写っている自分を見て
あまりの変わりように
驚いたことはありませんか
うすくなった髪 つき出した腹 増えたシワ

日々の生活の中では気づかない変化も
何年か後には人を別人のようにしてしまいます

外見だけでなく 心の中も同じですね

毎日毎日積もり重なった心の垢(あか)
欲の心 高慢な心 腹立ての心
何年か経てば
人の心を貧しく変えてしまいます

身体の手入れだけでなく 心の手入れも
怠らないようにしましょう

心の手入れの仕方は
感謝の心 低い心 やさしい心になることです
心の垢を洗い流しましょう

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同じ畑で育っても 大根とごぼうは 色も味も違います

同じ海で泳いでいても 鯛と鰯の味も違います

もし 食べ物がすべて同じだったら
きっと 味気ないでしょうね

人も同じだと思います
同じこの世で暮していても 人生いろいろです
それぞれの味があります

苦しいときもあれば 楽しいときも
泣きたいときも 喜べる日も…

貧乏に生まれたこと 病弱だったこと 学歴がなかったことが
成功の元であったと語った人もいます

天より戴くすべての与えを 
上手に味わって通った人なのでしょう

それぞれの持ち味を認めて
ひと味違う愉快な人生を送りたいものです